府中家具について

府中家具について

府中家具は、約300年の歴史を持つ箪笥を中心とした木製家具の総称です。宝永年間(1700年頃)に内山円三が大阪から箪笥の製法技術を学び帰ったのが始まりと記されています。大正時代になると職人数も増え、町には百数十軒もの箪笥職人の店が軒を連ね、ノミやカンナを使う音が絶えなかったと言います。昭和時代には、婚礼家具としてのニーズが増え、やがて府中は婚礼家具のメッカとも呼ばれるようになりました。現代では、各企業が箪笥製造の技術を継承しながら、幅広い家具づくりを行っています。

 

特徴

素材

素材

府中における家具づくりは、原木選びからこだわります。出来上がった家具の雰囲気は木目や木地といった木の表情で印象が大きく変わるからです。原木を選んだら持ち帰り、反りなどが生じないよう長い年月をかけて自然に乾燥を行い、木材をしっかりと寝かせてから加工します。

技術

府中家具には、300年の時を経て受け継がれてきた職人たちの技が隅々に表れています。引出しの接合部に用いられる台形の凹凸を掛け合わせて強度を保つ「蟻組」、使うたびに擦りへりがちな引出しの底部分に使われる「木釘」など、随所に伝統的な技巧を取り入れています。


仕上げ(塗装)

仕上げ(塗装)
家具作りの要とも言える塗装。木目の美しさや風合いをより一層引き立てます。同時に傷や変色などを防ぐ役目もあります。

 

突板

突板
天然木を0.2mm程度に薄くスライスし、厚みや丸みのある合板や木板などに圧着させます。節やムラのないきれいな木目を見せることができ、統一感があります。

 

桐の収納

桐の収納
箪笥の内部に多く用いられてきた桐は、湿度の通過性や熱伝導率が極めて小さい特性を持っているため、洋服を収納するのに最適な材でした。

 

摺込み(すりこみ)

摺込み(すりこみ)
引出しが緩くなく固くもない、ちょうどよい具合で引き出せるよう、何度もカンナで引出しを薄く削り調整する加工です。職人の非常に高い技術が必要な手カンナ加工の1つです。引出しを閉めると、他の段の引出しが出っ張るのはこの作業が所以です。

 

木釘

木釘
引出しの底などに使われる木製の釘です。引出しの底板と一緒に磨り減り、釘だけが飛び出すことがないので棚を傷めません。木との相性や多湿な日本の風土を考えた昔からの知恵によって生まれた技術です。

 

蟻組

蟻組
一般的には台形の凹凸を掛け合わせて組み合わせる技法です。木同士の反りを止め合うことで、より強度が増します。